日本血管外科学会雑誌
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症例
鈍的外傷による腋窩・大腿動脈バイパス(ePTFE 人工血管)断裂の1 例
内田 智夫
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2014 年 23 巻 6 号 p. 927-930

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抄録
要旨:リング付ePTFE 人工血管を用いた腋窩・大腿動脈バイパス術後の鈍的損傷による稀な断裂症例を診療したので報告する.62 歳男性.糖尿病,狭心症の既往あり.閉塞性動脈硬化症(左腸骨動脈閉塞)のため前医で左腋窩・大腿動脈バイパス術を約14 年前に受けている.誤って転倒し左側腹部を打撲.側腹部に広範囲の皮下出血と血腫を認めたため当院を受診.造影CT 検査でグラフトの断裂と周囲の血腫が確認され,全身麻酔により緊急手術を行った.グラフトの断裂部はほとんど挫滅がなくリングの間で断裂していたため,端々吻合のみで修復可能であった.術後は特段の問題なく,14 日目に独歩退院し,前医で診療継続となった.リングの間に外力が集中して鋭利な刃物で切断されたような完全な断裂をきたしたと推測された.外傷で破綻した部位より中枢側に仮性動脈瘤を認めており人工血管の劣化の関与も疑われた.
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