日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
Streptococcus agalactiae を起炎菌とする感染性胸部大動脈瘤
竹内 晋田中 弘之高橋 英樹
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2014 年 23 巻 7 号 p. 997-1001

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抄録
要旨:感染性胸部大動脈瘤は比較的稀ではあるが致死率の高い疾患である.破裂の危険性が高く早期診断がしばしば困難である.今回われわれは感染性胸部大動脈瘤の起炎菌としては稀なStreptococcus agalactiae に対し抗生剤治療後,手術を行い良好な結果を得たので,報告する.症例は60 歳,男性.歯科治療後より38˚C 台発熱,頸部,背部痛をきたし,敗血症の診断で緊急入院となった.入院時白血球,CRP 高値,血液培養からStreptococcus agalactiae が検出された.1 週間後のCT で遠位弓部囊状瘤の形成が認められたため,感染性胸部大動脈瘤の診断で抗生剤を厳重な観察のもと3 週間投与後,全弓部人工血管置換術と一期的に大網充填術を行った.術後6 週間抗生剤投与を行い,その後,炎症反応再燃発熱なく経過している.術前,術後の適切な抗生剤治療と手術により感染は制御できたと考えられた.
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