日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
原著
当科における膝窩動脈瘤42 肢の治療経験
和田 有子福井 大祐駒津 和宜大津 義徳寺崎 貴光瀬戸 達一郎高野 環
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2015 年 24 巻 1 号 p. 7-12

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抄録

要旨:【目的および方法】2003 年10 月から2013 年10 月に当科を受診した膝窩動脈瘤30 例42 肢の治療の現状について検討した.平均年齢は69 歳,男性24 例/女性6 例であった.【結果】初診時平均瘤径は32 mm.瘤閉塞56%および末梢塞栓16%と全体の72%が虚血症状での受診であった.瘤径が大きくなるほど瘤閉塞や壁内血栓が増加する傾向を認めたが,一方20 mm 以下の小さな瘤でも瘤閉塞や末梢塞栓を認めた症例もあった.手術は28 肢に行った.周術期大切断を3 肢に要し,遠隔期に3 肢にグラフト閉塞を認めた.いずれも全例下腿三分枝すべてが閉塞している症例であった.【結論】膝窩動脈瘤は血栓による虚血発症のリスクが高く,末梢塞栓の発症は手術成績に大きく影響するため,瘤径だけでなく瘤内血栓が手術適応決定に重要と考えられる.瘤径が小さくとも急性虚血発症の危険があることを念頭におき,治療方針を決定する必要がある.

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