日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
Endurant® ステントグラフト留置後に両側脚合併症を来し,治療に難渋した1 例
岡本 実田中 睦郎岡本 健池田 理
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ジャーナル オープンアクセス

2015 年 24 巻 1 号 p. 26-30

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抄録

要旨:今回,われわれはステントグラフト留置後に両側脚合併症を来し,治療に難渋した症例を経験したので文献的考察を加えて報告する.症例は75 歳男性.最大径50 mm の腹部大動脈瘤に対して左内腸骨動脈コイル塞栓術とEndurant® を用いたステントグラフト内挿術を施行した.術後4 カ月目,蹲踞姿勢での作業後から腹痛と間歇性跛行が出現し,その約20 日後に当科外来を受診,精査にてグラフト左脚の閉塞が判明した.人工血管を用いた両側外腸骨動脈間バイパスを施行し改善を得たが,その3 カ月後に施行した足関節/上腕インデックス検査で両側下肢の血圧低下を認めた.精査にて新たにグラフト右脚遠位端に狭窄を認めたため,経皮的血管形成ステント留置術を行い改善が得られた.現在は跛行症状なく外来加療中だが,腹部大動脈瘤ステントグラフト内挿術後はエンドリーク以外にも脚閉塞にも注意が必要であると考えられる.

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