日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
Powerlink 内挿1 年目に脚狭窄に伴う右下肢血流障害に対し血管内治療を要した1 例
山本 経尚岡 克彦坂井 修渡辺 太治神田 圭一夜久 均
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2015 年 24 巻 1 号 p. 31-35

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抄録

要旨:腹部大動脈分岐部が細い囊状腹部動脈瘤に対して,Powerlink® を用いたEVAR 施行1 年後に脚狭窄を来し,再治療を要した1 例を経験したので報告する.症例は67 歳,男性.終末部腹部大動脈径が細い囊状腹部大動脈瘤に対して,Powerlink® を用いたEVAR を施行.術後1 年後に,右下肢の跛行症状を訴えて再入院した.右ABI は0.66 と低下し,CT ではステントグラフト右脚が,細い腹部大動脈終末部で左脚による圧排を受け狭窄していた.Metallic stent による血管内治療で狭窄を解除し,右ABI は1.19 と改善した.再手術後24 カ月経過した現在,再狭窄やABI の低下なく経過している.囊状動脈瘤や終末部腹部大動脈径が細い症例に対しては,脚狭窄を生じにくいPowerlink® が良い適応であるといわれているが,大動脈終末部に確実に騎乗できない際には脚狭窄を生じる可能性があり,注意が必要である.

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