日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
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症例
多発性限局型大動脈解離を伴う腹部大動脈瘤に対しC3 Excluder ステントグラフトによるEVAR が奏功した1 例
北川 敦士佐藤 卓也長尾 俊彦
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2015 年 24 巻 1 号 p. 45-49

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抄録
要旨:多発性限局型大動脈解離を伴う腹部大動脈瘤(AAA)に対し,C3 Excluder ステントグラフトによるEVAR(endovascular aortic repair)が奏功した1 例を経験したので報告する.症例は,73 歳男性.大動脈弁置換,冠動脈バイパス,debranching TEVAR の既往あり.AAA は径46 × 44 mm に拡大,腎動脈上下腹部大動脈,瘤壁,両側総腸骨動脈に多発性限局型動脈解離を認めた.AAA open repair は,動脈遮断操作による動脈損傷のリスクが高いと考え,EVAR を施行.デバイスはC3 Excluder を選択.術中,術後問題なく経過,術半年後の現在,瘤の拡張を認めていない.多発性限局型大動脈解離を伴うAAA に対して,動脈壁の脆弱性からEVAR は適応困難ではあるが,C3 Excluder を用い慎重にEVAR を行うことで,本疾患は治療可能であった.
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