抄録
要旨:症例は72 歳,男性.腹部大動脈瘤に対しステントグラフト(ENDURANT IITM)内挿術を施行された.術後は炎症反応の遷延なく経過し,外来で経過観察となった.術後5 カ月目から腰痛,下腹部痛が出現し,6 カ月目には発熱および腰痛の増強があり,近医を受診した.造影CT でマントルサインを認め,感染性大動脈瘤として加療されたが,改善が得られず当科に紹介となった.血液生化学検査で炎症反応の上昇を認めたものの,血液培養が陰性であり,血清プロカルシトニンも基準値内であったことから炎症性大動脈瘤と診断し,ステロイド投与により炎症の消退を得た.ステントグラフト内挿術後の合併症として稀な炎症性大動脈瘤を経験したので報告する.