日本血管外科学会雑誌
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Print ISSN : 0918-6778
症例
生体腎移植後患者に発症した多発性感染性大動脈瘤に対して分割手術を行った1 例
宗像 寿祥加藤 亙田中 啓介酒井 喜正井尾 昭典田嶋 一喜
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2015 年 24 巻 7 号 p. 967-970

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抄録

要旨:腎移植後患者に発症した多発性感染性大動脈瘤に対して分割手術を施行し良好な結果が得られたので報告する.症例は57 歳,男性.8 カ月前に慢性腎不全に対して生体腎移植術を施行している.発熱を主訴に来院し,胸部CT 検査にて下行大動脈に不整形の動脈瘤を認め感染性大動脈瘤の疑いにて入院した.血液培養検査にてメチシリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA)が検出され,入院後のCT 検査にて腹部大動脈にも囊状瘤を認めた.MSSA を起因菌とする胸部下行大動脈および腹部大動脈に発生した多発性感染性大動脈瘤と診断し,同時手術は侵襲が大きいことから胸部と腹部に分けた分割手術を行った.第1期手術は胸部下行大動脈瘤切除術を施行し,4 週後に第2 期手術として腹部大動脈瘤切除術および大網充填術を施行した.両手術ともにリファンピシン浸漬人工血管を用いてin situ に血行再建を行った.現在術後から2 年経過し感染の再発なく良好な経過である.

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