日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
大腿動脈-大腿動脈バイパス術後の鈍的外傷による人工血管完全断裂の1 例
山元 博文古川 浩二郎蒲原 啓司諸隈 宏之柚木 純二森田 茂樹
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2016 年 25 巻 p. 288-291

詳細
抄録

要旨:今回,われわれは非常に稀な大腿動脈-大腿動脈バイパス術後の鈍的外傷による人工血管完全断裂例を経験したので報告する.症例は63 歳男性.15 年前に大腿動脈-大腿動脈バイパス術を受けた.今回バイク事故にて下腹部を打撲し,当院に救急搬送された.下腹部に血腫を認めたため,造影CT が施行され,人工血管周囲に造影剤の漏出あり,緊急手術が行われた.まず,両鼠径部の人工血管吻合部を露出し,人工血管を遮断し出血を制御した.中央部で人工血管の完全断裂を認め,polytetrafluoroethylene graft を用い,バイパスの再建を行った.術後14 日目に独歩退院となった.人工血管断裂症例に対しては,早期に検索を行い,速やかに処置を行う必要がある.外科手技に関しては,受傷部へのアプローチ前に出血を制御することが,安定した血行動態の下での手術完遂に重要であると考えられた.

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top