日本血管外科学会雑誌
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Print ISSN : 0918-6778
症例
総大腿静脈内へ急速進展した血栓を伴う大伏在静脈Venous aneurysm の1 手術例
親松 裕典神原 祐一外山 正志中山 雅人
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ジャーナル オープンアクセス

2016 年 25 巻 p. 121-124

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抄録

要旨:Venous aneurysm(VA)は限局的な静脈拡張病変である.表在静脈VA に血栓塞栓症が合併する頻度は明らかではない.今回,血栓が総大腿静脈内へ急速進展した大伏在静脈VA を経験した.70 歳,女性.以前より右大腿内側に皮下腫瘤を自覚していた.エコーで大腿静脈-大伏在静脈接合部(SFJ)近傍までの血栓を伴う大伏在静脈の血管瘤を認めた.1 カ月前撮影されたCT では血栓の位置や進展範囲に変化はなかった.診断後4 日目に手術を行った.術直前にエコーで観察したところ,血栓が総大腿静脈内へ2 cm 進展していた.手術は血栓除去と瘤切除を行った.大伏在静脈の限局性の囊状拡張であったためVAと診断した.血栓を伴うSFJ 付近の表在静脈VA は,血栓素因の検索や抗凝固療法の導入等の適切な対応が重要である.また,血栓が急速に進展する可能性もあるため,可及的早期に切除することが望ましい.

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