抄録
要旨:症例は11 歳女児.出生時の低酸素性虚血性脳症による脳性麻痺および気管軟化症のため,7歳時に喉頭全摘出術および気管切開術を施行され,以後長期呼吸管理中であった.自宅にて気管切開部より出血を認めたため来院した.診察時に,気管カニューレより大量の動脈性出血を認めたため,カフ拡張による圧迫にて一時的に止血した.気管腕頭動脈瘻と診断し,腕頭動脈離断術を施行した.腕頭動脈離断直後の末梢側動脈圧は50 mmHg 以上あり,バイパス手術は施行しなかった.術後経過は良好であった.気管腕頭動脈瘻は致命的な疾患であるが,緊急時の迅速な対処および適切な手術により良好な結果が得られるものと考えられた.