日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
胸部大動脈ステントグラフト留置後の二峰性遅発性対麻痺に対する一治験例
山本 直樹 加藤 憲幸山本 希誉仁金光 真治下野 高嗣新保 秀人
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ジャーナル オープンアクセス

2016 年 25 巻 p. 353-357

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抄録

症例は70歳,男性.診断は遠位弓部大動脈瘤および下行大動脈瘤であった.ステントグラフト留置直後より脳脊髄液ドレナージを開始し,対麻痺症状なく術後1日目にドレナージチューブを抜去した.しかし,術後2日目に対麻痺が出現したために,脳脊髄液の減圧を試みた.脳脊髄液圧を測定したところ,初圧20 cmH2Oの高値であり,脳脊髄液ドレナージを開始した.症状は一旦改善するも,同日対麻痺の再燃が認められた.d-マンニトールと副腎皮質ホルモンの点滴を併用し,リハビリを開始した.術後7日目までに症状は改善し独歩可能となり,術後21日目に自宅退院した.ステントグラフト留置後に二峰性対麻痺が出現したが,持続脳脊髄液ドレナージとd-マンニトールや副腎皮質ホルモンの併用で症状なく退院し得た.

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