日本血管外科学会雑誌
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Print ISSN : 0918-6778
症例
内腸骨動脈コイル塞栓術で広範囲臀筋壊死を生じたEVARの1例
相馬 裕介 舘林 孝幸野地 智
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ジャーナル オープンアクセス

2016 年 25 巻 p. 347-351

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抄録

近年,腹部大動脈瘤に対するendovascular aneurysm repair(EVAR)が定着してきている.併存する腸骨動脈瘤に対する処置の際には,術後臀筋跛行等の虚血症状が生じる場合があり注意が必要である.症例は86歳男性.腹部大動脈瘤,右総腸骨動脈瘤,右内腸骨動脈瘤に対して腹部ステントグラフト内挿術・右内腸骨動脈コイル塞栓術を施行した.腸骨動脈の蛇行のためカテーテルの誘導に難渋し,施行途中で塞栓症によると思われる右内腸骨動脈の血流低下を認めたが,その後は問題なく手技を終了した.術後,右臀部~大腿部の皮膚・筋壊死を広範囲に認めた.デブリードマンを繰り返し,経過中に骨髄炎を併発したが,抗菌薬の使用・創部のVaccum-assisted closure(VAC)療法・洗浄処置にて軽快した.自宅退院予定であったが待機中に脳出血を発症し,術後219日目にリハビリ病院へ転院となった.

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