日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
総説
血管ベーチェット病とは何か?
石橋 宏之
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2017 年 26 巻 1 号 p. 19-23

詳細
抄録

血管ベーチェット病(BD)は,たとえ手術がうまくいっても原疾患再燃による吻合部動脈瘤発生の危険性が術後ずっと持続するので,血管外科医には人工血管感染とともに遭遇したくない疾患の1つである.血管BDの概念,現時点での診断基準に関して,一般臨床医は元より,外科手術に携わる血管外科医にも十分に理解されていない点が多い.血管BDを疑う所見としては,50歳以下の動脈硬化を伴わない囊状動脈瘤,原因不明の上大静脈症候群や両側下肢深部静脈血栓症,多発する表在血栓性静脈炎などがある.これらの血管病変で発症した未診断患者の場合,血管BDは眼病変の合併が少ないので本邦の診断基準をクリアするのは困難である.診断確定のためには,口腔内アフタと外陰部潰瘍だけでなく,関節炎の症状を聞き出すことが重要である.血管BDの確立に向けて,全国規模で症例集計して,本邦の診断基準を変えていく必要がある.

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja
次の記事
feedback
Top