日本血管外科学会雑誌
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血管外科手術アニュアルレポート2011年
血管外科手術アニュアルレポート2011年
日本血管外科学会データベース管理運営委員会NCD血管外科データ分析チーム
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ジャーナル オープンアクセス

2017 年 26 巻 1 号 p. 45-64

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抄録

2011年に日本で行われた血管外科手術について,日本血管外科学会データベース管理運営委員会が集計結果を解析し,アニュアルレポートとして報告する.【方法】NCDの血管外科手術データに基づき,全国における血管外科手術動向およびその短期成績(術死,在院死亡)を解析した.【結果】2011年にNCDに登録された血管外科手術は71,707例であり,992施設からの登録があった.腹部大動脈瘤(含む腸骨動脈瘤)は13,218例で,その45%がステントグラフトによって治療されていた.1,253例の破裂例を含んでおり,手術死亡率は破裂,非破裂で,それぞれ18.8%, 0.8%であった.慢性動脈閉塞症は,重複を含み11,278例登録され,open repair 7,115例,血管内治療4,163例であった.急性動脈閉塞は3,799例,血管外傷は1,030例,血行再建合併症に対する手術は1,615例が登録された.静脈手術は,19,371例登録され,下肢静脈瘤18,864例,下肢深部静脈血栓症348例などであった.その他の手術として,バスキュラーアクセス手術16,296例を含む17,510例が登録された.総じて,動脈にも静脈にも血管内治療が重要な役割を占めてきている.【結語】この血管外科手術データベースは,本邦における血管外科手術の現状を知る上で,極めて重要なデータベースであり,病態や術式別の早期手術成績の全国水準などを明らかにするとともに,毎年継続してデータを蓄積していくことによって,疾病構造や治療法の変遷,手術成績不良部分の改善の有無などが映し出され,血管外科手術成績向上に大いに資するものと期待される.

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