2017 年 26 巻 3 号 p. 153-156
症例は72歳男性.他院で本態性血小板血症に対してヒドロキシカルバミド内服による治療が行われていたが,血小板数は150×104/µL前後で推移していた.右第4趾壊死の精査加療で当科を受診し,下肢動脈造影検査で右前脛骨動脈,腓骨動脈,足底動脈の閉塞が指摘された.適切な血小板数管理の後に下肢血行再建術を予定していたが,壊死が進行しつつあったため手術を行った.術前からのヒドロキシカルバミド,アピキサバン,アスピリン内服に加えて,術後はヘパリン持続点滴,クロピドグレル内服追加による血栓症対策を行った.グラフトの血栓閉塞は認めなかった.趾切断は不可避であり創治癒に時間を要したが下肢大切断は回避することができ,術後第124病日に軽快退院した.血小板数管理は不良であったが,2剤の抗血小板療法と1剤の抗凝固療法の3剤併用により術後グラフト閉塞を起こすことなく救肢し得た.