日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
重症大動脈弁狭窄症を合併した胸腹部大動脈瘤切迫破裂に対して腋窩動脈送血による部分体外循環で人工血管置換術を施行した1例
仲澤 順二 伊藤 寿朗渡邊 俊貴黒田 陽介原田 亮川原田 修義
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2017 年 26 巻 3 号 p. 171-174

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抄録

症例は80歳男性.慢性腎不全により維持透析が行われており,5年前に腹部大動脈ステントグラフト内挿術が施行された.1週間前より左側胸部違和感が出現し,CT検査にて最大径98 mmの囊状の胸腹部大動脈瘤(Modified Crawford分類5型)が認められた.術前検査にて重症大動脈弁狭窄症の合併を認めたが,胸腹部大動脈瘤切迫破裂の診断で,準緊急的に人工血管置術を施行した.術中,重症大動脈弁狭窄症による循環動態破綻に備えて,右腋窩動脈送血,大腿静脈脱血の部分体外循環で手術を行った.術中予期せぬ出血があったが,循環動態が破綻することなく,胸腹部大動脈瘤人工血管置換術を施行した.術後経過は良好で,術後21日目に自宅退院し,術後6カ月後に大動脈弁置換術を施行した.

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