日本血管外科学会雑誌
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症例
術前エコーが有用であった自動釘打ち機による右大腿動脈損傷の1例
中村 峻輔 藤本 竜平谷口 裕一中西 浩之
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2018 年 27 巻 6 号 p. 499-501

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抄録

自動釘打機による右大腿動脈損傷の1例を経験した.症例;56歳男性.既往歴;とくになし.現病歴;仕事中,自動釘打ち機で誤って長さ85 mmの釘を右大腿部に打ち込んだ.レントゲン検査では骨折は認めなかったが,造影CTではArtifactで大腿動脈の損傷の評価は困難であった.血管エコーで釘は右浅大腿動脈を穿通しており,緊急手術を施行した.右総大腿動脈よりFogartyカテーテルを挿入し,大腿動脈の出血をコントロールした.受傷した浅大腿動脈を剝離,遮断後,釘を抜去した.損傷部位を切除後,浅大腿動脈端端吻合を行った.術後経過は良好であり,術後造影CTでも有意狭窄は認めなかった.感染の合併なく,術後11日目に退院した.非医原性の大腿動脈損傷の報告は稀である.血管エコーを行い,動脈損傷を速やかに診断,治療し良好な結果を得た.

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