2019 年 28 巻 4 号 p. 327-330
症例は62歳の女性.左足趾の疼痛,痺れを主訴に当院紹介となった.下肢造影CT,下肢エコーで左前・後脛骨動脈および右前脛骨動脈の末梢性の閉塞を認めたため,亜急性下肢動脈閉塞の診断で当科入院となった.胸部造影CTで下行大動脈の内腔に突出する造影効果を伴わない不整型腫瘤を認め,これが塞栓源と推測された.大動脈内腫瘤に対する精査を進めるも確定診断には至らなかったが,新たな塞栓症が出現したため塞栓源の除去を目的に下行大動脈人工血管置換術を施行した.切除した腫瘤は病理結果で粘液腫と診断された.