日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
腸骨動脈瘤の圧迫により,結腸壊死を伴う閉塞性大腸炎を生じた1例
橋本 宗敬 玉手 義久佐藤 博子渋谷 俊介石田 和之菅井 有
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2019 年 28 巻 4 号 p. 269-272

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抄録

孤立性左内腸骨動脈瘤の圧迫により直腸が狭窄し,S状結腸に壊死を伴う閉塞性大腸炎を来たした症例を経験した.症例は91歳男性.下痢,腹痛を発症し,当院救急外来を受診した.下腹部正中に圧痛があり,直腸指診にて3時方向壁外に拍動性腫瘤を触知した.CT検査にて直径9×6 cmの左内腸骨動脈瘤と,動脈瘤に圧迫されて狭窄した直腸を認めた.狭窄した直腸より口側のS状結腸は著明に拡張し,大腸内視鏡検査にて閉塞性大腸炎の所見を認めたため,手術を行った.手術は,左内腸骨動脈瘤遠位分枝の塞栓術,左腸骨動脈ステントグラフト内挿術,腹腔鏡下S状結腸切除術,下行結腸人工肛門造設術を1期的に行った.切除したS状結腸は粘膜に広範な壊死を認めた.腸骨動脈瘤の圧迫に起因する壊死性閉塞性大腸炎の報告例は見当たらず,極めて稀な症例であるため報告する.

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