2020 年 29 巻 3 号 p. 145-149
【目的】破裂性腹部大動脈瘤(AAA)に対する緊急開腹手術(OR)と緊急ステントグラフト内挿術(SG)の医療資源を比較して医療経済上の相違を検討すること.【方法】対象は2011~2018年に当院で経験したRutherfordレベル2~4でinstruction for use(IFU)外のためORを施行した21例(OR群)とIFU内でSGを施行した14例(SG群)であった.術前因子,術中因子,術後成績,医療費を比較した.【結果】2群間の術前重症度,総輸血量,術後成績に有意差は認めなかった.麻酔時間と手術時間はOR群が有意に長く,医療材料費はSG群で有意に高額であった.【結論】SG群は高額な医療材料を消費した.破裂性AAAに対する緊急手術では,SG群はOR群に比して,統計学的有意差はないものの,初回入院時の総医療費が高く入院期間が延長する傾向にあったが,手術時間と麻酔時間は有意に短縮されていた.