日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
周術期抗凝固療法としてDOACを使用した膝窩静脈静脈性血管瘤の1例
大賀 勇輝 久保 陽司剱持 礼子松本 三明
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ジャーナル オープンアクセス

2020 年 29 巻 3 号 p. 141-144

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抄録

膝窩静脈静脈性血管瘤(Popliteal Venous Aneurysm: PVA)は肺塞栓症を合併することが多く,時に致命的となる場合があるため,早期手術と術後抗凝固療法が現在の標準的な治療となっている.患者は75歳女性,突然の胸部不快感および呼吸困難を自覚して近医を受診,急性肺動脈塞栓症と診断されて当院へ入院となった.造影CT検査では内部に血栓を伴う23×37 mmの左PVAを認め,リバーロキサバンによる抗凝固療法を開始した.呼吸困難は次第に消失し,造影CTで肺動脈および膝窩静脈内の血栓は消失した.周術期に下大静脈フィルターを留置し,瘤切除および縫縮術を施行した.術後抗凝固療法としてリバーロキサバンを1年間継続投与し,良好な短期成績を得ている.直接経口Xa阻害薬は歴史が浅く,これを使用した術後抗凝固療法の有効性や投与期間については報告例が少ない.今後さらなる検討が必要と考えられた.

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