2020 年 29 巻 3 号 p. 151-155
87歳,男性.他院にて破裂性下行大動脈瘤に対し下行大動脈置換術の施行歴があった.人工血管中枢側吻合部(遠位弓部)に仮性動脈瘤が形成され手術施行した.前回手術時に同吻合部の止血操作に難渋しており,正中切開での全弓部置換術は同部位の剝離に難渋することが予想された.また術前CTで人工血管は高度に屈曲し末梢では複数多発する壁在血栓を伴う大動脈瘤も認め,末梢アプローチのTEVARも困難と考えた.以上からopen stent graft法による全弓部置換術を選択した.留置の際に遠位端が人工血管の高度屈曲部より末梢に十分なlanding zoneを確保して吻合部仮性瘤をカバーするのを確認する必要があった.内視鏡による血管内観察により遠位端の位置と血管内の性状等を確認してからdeployし,さらにその良好な拡張も確認できた.Open stent graft使用の際の有用な補助手段であったので報告する.