日本血管外科学会雑誌
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Print ISSN : 0918-6778
症例
内腸骨動脈Conduitを用いた腹部ステントグラフト内挿術の経験
仲村 亮宏 青木 賢治武居 祐紀佐藤 裕喜加藤 香若林 貴志
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ジャーナル オープンアクセス

2020 年 29 巻 5 号 p. 325-328

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抄録

腹部大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術(EVAR)は開腹手術と比較して低侵襲であるが,アクセスルート不良例では実施困難なことがある.今回,内腸骨動脈conduitをアクセスルートとしたEVARを経験した.症例は77歳,男性.胃全摘後で,また両側外腸骨動脈閉塞に対する右腋窩動脈–両側大腿動脈バイパス術を受けた既往がある.最大短径50 mm超の腹部大動脈瘤にて外科治療の方針とした.高齢,開腹歴からEVARを考慮したが,閉塞した外腸骨動脈を再疎通させてアクセスルートとするのは困難であった.そこで後腹膜経路で左内腸骨動脈conduitを作製しアクセスルートとした.conduitを介して右総腸骨動脈をコイル塞栓し,Aorta-uni-iliac EVARを完遂した.大腿動脈や外腸骨動脈の閉塞合併例でのEVARにおいて,内腸骨動脈conduitは比較的低侵襲かつ,容易に確保できるアクセスルートとして有用であると思われた.

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