日本血管外科学会雑誌
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講座
血管内治療の適応と限界:SVSガイドラインから浅大腿動脈病変
笠島 史成 松本 康川上 健吾遠藤 將光
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ジャーナル オープンアクセス

2020 年 29 巻 5 号 p. 337-345

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抄録

浅大腿動脈(superficial femoral artery; SFA)における末梢動脈疾患(peripheral arterial disease; PAD)は複雑な病変を呈することが多く,血管内治療(endovascular treatment; EVT)の成績は不良であったが,近年の治療手技やデバイスの発達によって,ほぼ全例で初期成功が得られるようになり,遠隔期成績も改善されてきた.2015年に米国血管外科学会(Society for Vascular Surgery; SVS)から発表された跛行症例に関するPAD治療のガイドラインでは,起始部を含まない15 cmまでのSFA病変に対してEVTを推奨している.またその後,ヨーロッパ心臓病学会(European Society of Cardiology; ESC)では,25 cm未満の病変にはEVTが第一選択として推奨された.現在,大腿膝窩動脈病変には多数のEVT用デバイスが使用可能となっており,早期・中期成績が報告されているが,それぞれ一長一短であり,その特性を熟知する必要がある.とくに跛行患者では,長期の治療効果が求められることから,個々の患者に応じ,ガイドラインに則って,デバイスの適正使用指針を遵守した治療選択を行わなければならない.

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