日本血管外科学会雑誌
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Print ISSN : 0918-6778
症例
短期間に跛行症状の増悪と寛解を繰り返した膝窩動脈外膜囊腫の一例
原田 拓光 小林 平濱本 正樹小澤 優道
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ジャーナル オープンアクセス

2020 年 29 巻 5 号 p. 355-359

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抄録

症例は38歳,男性.突然の右下肢間欠性跛行を自覚し近医を受診した.右足背動脈および後脛骨動脈が触知不良で,ankle-brachial index(ABI)0.64と低下していた.しかし当院紹介時には跛行症状が消失し,ABI 1.0と改善していた.造影CTでは右膝窩動脈に部分的な外膜肥厚を認めたが,内腔狭窄は認めなかった.膝窩動脈外膜囊腫と診断したが,症状が消失していたため経過観察とした.しかし,初診翌日から間欠性跛行が再燃し,右足背動脈および後脛骨動脈は触知せず,ABIは測定できなかった.造影CTでは,外膜囊腫の増大で膝窩動脈は高度に狭小化していた.血行再建目的で入院となったが,翌日には跛行症状が消失し,脈拍触知も良好となった.跛行症状の増悪と寛解を繰り返すため手術を施行した.後方アプローチで膝窩動脈を切除し大伏在静脈で置換した.跛行症状は消失し,術後6カ月現在再発を認めていない.

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