2020 年 29 巻 5 号 p. 355-359
症例は38歳,男性.突然の右下肢間欠性跛行を自覚し近医を受診した.右足背動脈および後脛骨動脈が触知不良で,ankle-brachial index(ABI)0.64と低下していた.しかし当院紹介時には跛行症状が消失し,ABI 1.0と改善していた.造影CTでは右膝窩動脈に部分的な外膜肥厚を認めたが,内腔狭窄は認めなかった.膝窩動脈外膜囊腫と診断したが,症状が消失していたため経過観察とした.しかし,初診翌日から間欠性跛行が再燃し,右足背動脈および後脛骨動脈は触知せず,ABIは測定できなかった.造影CTでは,外膜囊腫の増大で膝窩動脈は高度に狭小化していた.血行再建目的で入院となったが,翌日には跛行症状が消失し,脈拍触知も良好となった.跛行症状の増悪と寛解を繰り返すため手術を施行した.後方アプローチで膝窩動脈を切除し大伏在静脈で置換した.跛行症状は消失し,術後6カ月現在再発を認めていない.