日本血管外科学会雑誌
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Print ISSN : 0918-6778
症例
術中インドシアニングリーン蛍光血管造影が有用であった膝窩動脈捕捉症候群の1例
遠藤 佑介 犬塚 和徳佐野 真規片橋 一人竹内 裕也海野 直樹
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2020 年 29 巻 6 号 p. 395-398

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抄録

症例は50歳男性.左下肢間欠性跛行を主訴に当科を受診した.左下肢のABIは0.74と低下していた.造影CTで左膝窩動脈の血流は途絶し,側副路を介して下腿動脈は正常に造影された.造影MRIで左腓腹筋内側頭は外側へ偏位し,左膝窩動脈はさらに外側に偏位していた.左膝窩動脈捕捉症候群と診断して手術を施行した.腹臥位,膝窩部S字切開でアプローチし,膝窩動脈を圧迫する腓腹筋内側頭の異常筋束を切離した.しかし,術中インドシアニングリーン(ICG)蛍光血管造影で膝窩動脈は造影されなかったため,大伏在静脈を用いて膝窩動脈を間置した.術後のABIは1.12と改善し,造影CTで左膝窩動脈以下は良好に描出された.跛行症状も軽快し,術後7病日に退院,以後症状は認めていない.膝窩動脈捕捉症候群は筋束の切離だけでは血行改善が得られない場合が少なくない.本例では腹臥位手術での血流評価にICG蛍光血管造影が有用であった.

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