日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
内頸静脈経由で留置された植込み型中心静脈ポートカテーテル断裂による右室穿孔
橋本 亘 東 理人比嘉 聡川上 浩司加藤 航司小野 武
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2021 年 30 巻 6 号 p. 381-384

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抄録

皮下埋没型中心静脈ポート(TIVAP)のカテーテル(CVC)はしばしば断裂することが知られている.しかしCVC断片により右室穿孔・心タンポナーデまで至った報告はない.82歳男性,4年前に胃癌手術を施工され,右内頸静脈(IJV)経由でTIVAPが留置された.胸痛のため救急外来受診.画像検査では頸部でCVCが断裂し,心囊内にはCVC断片を認めた.CVC断片により心穿孔・心タンポナーデを発症しており緊急開胸手術とした.手術所見では右室に穿孔部位があり縫合修復した.本症例に於けるCVC断裂リスクは(1)CVCの変曲点の角度が小さい,(2)鎖骨から変曲点までの距離が長い,(3)シリコン製,が考えられた.断裂したCVC断片はインターベンション(CI)での回収が一般的であるが,本症例では心穿孔・心タンポナーデを発症しており手術で心穿孔部の修復とCVC回収を行った.

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