2021 年 30 巻 6 号 p. 385-389
症例は,65歳男性,突然の意識障害を伴うショックを認め,近医入院となった.入院時にはショックを離脱し,左上肢運動障害と腰痛を認めた.入院3日目の抗凝固療法開始後に右鼠蹊部に皮下出血が出現し,その2日後に皮下出血の拡大と腰痛が増強し,腹部大動脈瘤(AAA)破裂を疑われ当科緊急搬送された.造影CT所見で7.6 cmのAAAと後腹膜血腫,動脈相で下大静脈(IVC)が描出され,AAA右側後壁とIVCの間に瘻孔を認めた.同日に瘤内からの瘻孔閉鎖と,瘤切除人工血管置換術を行い救命し得た.診断および治療について文献的考察を加えて報告する.