日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
出血性十二指腸穿孔を来した長期留置下大静脈フィルター摘出の一例
田邉 佐和香 腰地 孝昭森岡 浩一山田 就久水永 妙矢野 啓太
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2022 年 31 巻 1 号 p. 15-19

詳細
抄録

26歳男性.8年前精巣腫瘍,下大静脈(IVC)腫瘍塞栓に対し左高位精巣腫瘍摘出術,回収型IVCフィルター留置された.7年前に後腹膜リンパ節転移に対し後腹膜リンパ節郭清術施行され,その後化学療法による腎障害のため透析導入になった.今回,黒色便,貧血進行の精査のため上部消化管内視鏡検査施行し,十二指腸内のIVCフィルター脚の突出が確認され当院へ紹介となった.消化器外科医協力のもと消化管の剝離を行い,下大静脈から十二指腸へ穿孔している脚を剝離したIVCと十二指腸の間で切断し,十二指腸内の脚先端を抜去したのち十二指腸の損傷部位を修復.経静脈的にIVCフィルター回収キットを挿入してフィルター抜去に成功した.本例は,開腹によるフィルター穿孔部除去と経静脈的なフィルター抜去を併用し抜去に成功した稀な症例と考えられ報告した.

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top