2023 年 32 巻 2 号 p. 137-140
後脛骨動脈瘤は稀な疾患であり,多くは仮性動脈瘤である.下腿近位部から中部にかけて好発し,足関節部の発症は稀である.症例は65歳女性.無痛性右足関節腫脹を主訴に来院した.造影CT検査で23 mmの壁在血栓を伴う右後脛骨動脈瘤,右前脛骨動脈末梢の閉塞と診断した.右後脛骨動脈が足関節以下の主要な血行路となっており,足趾の術中パルスオキシメーター波形を参考に血行再建の必要性を判断した.動脈瘤の切除と後脛骨動脈の直接吻合を行った.術後経過に問題なく術後21日に造影CT検査で後脛骨動脈の開存を確認した.関節周囲の後脛骨動脈は中枢側と比較し血管露出が容易であり,積極的に血行再建を考慮すべきと考えられた.