2023 年 32 巻 3 号 p. 157-163
急性・亜急性Stanford B型大動脈解離に対する治療ストラテジーはTEVARが登場することにより大きな変化を遂げた.従来のcomplicated case(破裂・malperfusion)に加え,難治性高血圧,持続・再発する疼痛,大きな大動脈径など,保存治療では予後不良とされる症例も侵襲治療の適応に加わった.また,急性・亜急性・慢性早期の治療の方法としてはTEVARが第一選択となり,これができない場合,他の術式(fenestration・人工血管置換)が選択されることとなる.侵襲治療のタイミングはlife-threatening condition(破裂・malperfusion)には緊急で,有症状症例には至急で,それ以外の保存治療継続にて予後不良と考えられる症例には,発症6カ月以内において待機的に侵襲治療を施行するのが適切と考えられる.