難治性潰瘍の創傷管理における基本的な概念としてwound bed preparation(創面環境調整,WBP)がある.難治性潰瘍はなんらかの創治癒阻害因子が関与し治療に反応しない状態であり,これらの創治癒阻害因子を除外し創面の環境を整え,治療に反応できる状態にすることをWBPという.WBPのために除去すべき創治癒阻害因子をT(活性のない組織や損傷,tissue non-viable of deficient),I(感染または炎症,infection or inflammation),M(湿潤環境のアンバランス,moisture imbalance),E(創縁の治癒遅延またはポケット化,edge of wound-non advancing or undermined)の4つの因子に規定し,それぞれの因子に対する臨床的介入法とその結果について示したものをTIME理論という.WBPを図るためには,T→I→M→Eの順で介入するが,包括的重症下肢虚血(chronic limb threatening ischemia, 以下CLTI)の場合,通常のTIME理論による臨床的介入のみでは治癒が遅延するだけでなく,大切断に至ることもあり,CLTI特有の臨床的介入を行う必要がある.
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