2023 年 32 巻 4 号 p. 301-305
症例は79歳男性.心房細動ありワーファリン内服中であった.2021年8月,前医にてCOVID-19関連肺炎で入院し,レムデシビル,デキサメタゾンでの加療開始となった.加療中,右上腕の虚血症状が出現し内科的治療を行うも徐々に症状増悪.第8病日第2指の壊死が出現し,CTにて右上腕動脈の血栓閉塞を認め,加療目的に当院に転院となった.緊急にて上腕動脈分岐部の器質化した血栓を除去し,色調不良あるも症状は劇的に改善したため終了とした.しかし,術後6日目に虚血症状の再燃を認め血栓除去を再び実施.一時血流は改善するも夕方に再燃し再度血栓除去を行った.血流の改善は乏しく,前腕の筋肉も腫脹しており,筋膜切開を行った上,創部を開放した状態で手術を終了とした.その後も虚血状態は継続し,切断も検討されたが初回術後13日目より急激な呼吸状態の悪化,ARDSへと進行し.翌日に死亡した.