2023 年 32 巻 4 号 p. 275-279
76歳の男性,腹部大動脈瘤破裂に対してY字型人工血管での人工血管置換術の既往があった.人工血管置換術の中枢側腹部大動脈の瘤化を認め,腹部分枝バイパスを伴うステントグラフト内挿術を施行した.微熱および炎症反応上昇を契機に術後78日目にCTで膿瘍腔を認め,グラフト感染と診断した.開腹での再置換術および末梢側の血行再建術や,開腹でのドレナージは手術侵襲および全身状態から耐術困難と判断した.腹臥位での経腸腰筋CTガイド下穿刺を行い,膿瘍腔と連続する腹部大動脈瘤内にカテーテルを留置し,開放ドレナージおよび生理食塩水での洗浄および抗生剤の局所投与ならびに全身投与を行った.発熱,炎症反応は改善し,カテーテル抜去後も再燃なく経過し,外来通院となった.