日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
総説
急性下肢虚血における血行再建
宿澤 孝太小澤 博嗣大木 隆生
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ジャーナル オープンアクセス

2024 年 33 巻 4 号 p. 199-204

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抄録

急性下肢虚血(acute limb ischemia: ALI)は,下肢への動脈血供給が急激に低下し虚血に陥った状態であり,適切な治療が施されなければ,下肢大切断のみならず,生命予後も不良となる病態である.ALIの病因は塞栓症と血栓症に大別され,身体所見と画像所見で重症度判定と治療方針を決定する.血行再建法には外科的治療(血栓塞栓除去,バイパス術),血管内治療,ハイブリッド治療があるが,いずれの治療法においても,術中血管造影検査を行い適切な追加処置を行うことが重要である.また,血行再建時または再建後の,筋腎代謝症候群やコンパートメント症候群に対しても迅速な対応が必須である.患肢に不可逆的虚血の所見を認めた場合は,血行再建に固執することなく救命を優先し下肢切断を施行する.ALIは緊急治療を要する重篤な病態であり,各施設において施行可能な最善の初期治療を速やかに行うことが肝要である.

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