2024 年 33 巻 5 号 p. 271-274
膝窩静脈静脈性血管瘤(popliteal venous aneurysms, PVAs)は高頻度に肺塞栓症(pulmonary embolism, PE)を合併することが知られており,抗凝固療法単独ではPE予防が不十分のため外科的治療が推奨されている.症例は61歳,男性.膀胱結石砕石術,経尿道的膀胱頸部切開術,前立腺切除術後3日目,歩行開始時に突然の呼吸苦,血圧低下を認め,当院へ転院搬送となった.造影CT検査で両肺動脈に多発塞栓および内腔に血栓を有する右PVA(囊状,短径30 mm)を認めた.PEに対する加療後,PVAに対する手術の方針とした.手術は腹臥位,後方アプローチで瘤切除および縫縮術を施行した.現在術後1年であるが,術後合併症はなく,PVAの再発や血栓形成も認めず良好に経過している.PVAに対する外科治療はPEの再発予防のため考慮されるべきである.