2024 年 33 巻 5 号 p. 229-250
2013年以降,日本血管外科学会は,我が国の血管外科医により行われている重症下肢虚血(critical limb ischemia; CLI)診療の現状を明らかにし,その結果を現場の医師に還元することで医療の質の向上に貢献することを目的として,全国規模のCLI登録・追跡データベース事業を開始した.このデータベースは,非手術例も含むCLI患者の背景,治療内容,早期予後,および治療後5年までの遠隔期予後を登録するもので,NCD上に設置されている.2020年まではJAPAN Critical Limb Ischemia Database(JCLIMB)と呼称してきたが,2021年から登録対象をChronic Limb Threatening Ischemiaに変更したため,名称もJAPAN Chronic Limb Threatening Ischemia Database(JCLIMB)に変更した.2021年は78施設が1338肢(男性916肢:68%,女性422肢)のCLTIを登録し,うちASOが1323肢(男性907肢:69%,女性416肢)で,全体の99%を占めた.2021年の年次報告書では,ASO症例の登録肢の背景,虚血肢状態,治療,治療後早期(1カ月)の予後を集計し報告する.