日本血管外科学会雑誌
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血管外科手術アニュアルレポート2019年
血管外科手術アニュアルレポート2019年
日本血管外科学会データベース管理運営委員会 NCD血管外科データ解析チーム
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ジャーナル オープンアクセス

2024 年 33 巻 6 号 p. 307-335

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抄録

2019年に日本で行われた血管外科手術について,日本血管外科学会データベース管理運営委員会が集計結果を解析し,アニュアルレポートとして報告する.【方法】NCDの血管外科手術データに基づき,全国における血管外科手術動向およびその短期成績(術死,在院死亡)を解析した.【結果】2019年にNCDに登録された血管外科手術は154,460件であり,1,082施設からの登録があった.このデータベースは,7つの血管外科分野すなわち動脈瘤,慢性動脈閉塞,急性動脈閉塞,血管外傷,血行再建合併症,静脈手術,その他の血管疾患からなっており,それぞれの登録症例数は,23,826, 17,100, 4,947, 2,369, 674, 54,023, および51,521例であった.腹部大動脈瘤(含む腸骨動脈瘤)は20,369例で,その63.3%がステントグラフト(EVAR)により治療されている.1,739例(8.5%)の破裂例を含んでおり,手術死亡率は破裂,非破裂で,それぞれ15.0%,0.6%であった.破裂症例に対するEVARは43.8%を占め,その比率は年々増加傾向であり,置換術とEVARの手術死亡率はそれぞれ12.6%と15.4%であった.慢性動脈閉塞症は,重複を含み17,100例が登録され,open repair 8,026例(うちdistal bypass 1,250例),血管内治療8,879例が施行された.血管内治療の割合が51.9%であった.静脈手術では,下肢静脈瘤手術は42,313例(患者数)で,前年比で1.9%減少した.血管内焼灼術は41,676例で,手術法の79.8%を占めた.下肢深部静脈血栓症は384例であった.その他の手術として,バスキュラーアクセス手術47,605例,下肢切断1,703例が登録され,共に増加傾向である.【結語】2018年と比較して,全領域において血管内治療の割合が増加傾向であった.下肢静脈瘤に対する血管内焼灼術とバスキュラーアクセス手術の増加が顕著であった.

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