日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
破裂性大腿深動脈瘤と対側大腿深動脈瘤に対し2期的にステントグラフト留置を行った1例
横山 俊貴 斎藤 聰坪根 咲里依小林 俊郎郷良 秀典
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ジャーナル オープンアクセス

2025 年 34 巻 4 号 p. 127-131

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抄録

症例は83歳男性.右大腿部の拍動性腫瘤を指摘され近医より紹介となった.CTで両側大腿深動脈瘤を認め,右大腿深動脈瘤は最大径82 mm, 左大腿深動脈瘤は最大径51 mmと巨大であった.破裂のリスクが高いと考え早急に手術の方針とした.しかし,手術待機期間中に右大腿深動脈瘤が破裂したため緊急でVIABAHNステントグラフトを留置し術後経過は良好であった.さらに左大腿深動脈瘤に対しても待機的にVIABAHNステントグラフトを留置し,合併症なく両側の瘤の縮小が得られた.大腿深動脈瘤は稀な疾患であるが,破裂例の報告もあり早期手術が望ましい.治療方針としては瘤切除および人工血管置換術が基本となるが血管内治療例も報告されている.右大腿深動脈瘤が巨大で破裂例であり,左大腿深動脈瘤も高齢で認知症が高度であるため,低侵襲の血管内治療を選択し良好な結果を得た.

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