2025 年 34 巻 6 号 p. 229-239
遺残坐骨動脈は胎生5週の胎児期に下肢を栄養していた坐骨動脈がそのまま遺残したものである.発生頻度は0.01–0.06%と言われており,多くは無症状で経過する.発見時は約70–80%の症例が有症状であり,血栓・塞栓による下肢虚血症状,瘤形成(約50%)による臀部痛,坐骨神経痛や瘤破裂などの症状を呈する.遺残坐骨動脈は膝窩動脈に連続している「完全型」と膝窩動脈に連続していない「不完全型」に分類され,さらに浅大腿動脈の発達程度(正常発達,低形成・欠損)によって細分類化される.症状や分類,瘤形成の有無などにより,治療適応や血行再建のアプローチを検討する必要がある.浅大腿動脈が低形成・欠損している型では,瘤に対する治療とともに,下肢動脈の血行再建が必要である.一方で浅大腿動脈が正常の型では下肢動脈の血行再建は不要で,瘤に対する治療で対応可能である.