抄録
要旨:症例は73 歳男性.以前膀胱癌に対し経尿道的膀胱腫瘍切除術,BCG 膀胱内注入療法を受け無再発で経過していた.1 カ月前より夜間発熱を認め腹部腫瘤を自覚するため当院を受診した.CT 検査にて感染性胸部および腹部大動脈瘤が疑われ入院となった.入院4 日目のCT にて腹部大動脈瘤の拡大を認め手術を施行した.手術はリファンピシン浸透人工血管を使用し人工血管置換,大網充填術を施行した.術中組織培養よりガフキー陽性,その後Mycobacterium bovis と診断され抗生剤治療を開始した.術後2週間目のCT 検査にて胸部下行大動脈瘤の拡大を認め手術を追加した.手術はリファンピシン浸透人工血管にて下行大動脈置換術を施行した.術後経過良好で10 日目に軽快退院した.現在術後14 カ月が経過するも炎症反応の再燃および動脈瘤の再発は認めていない.BCG 療法後の結核性動脈瘤の合併は極めて稀であり,文献的考察を加え報告する.