抄録
琵琶湖ではBODとCODの濃度の経年変化に乖離が見られていることから, 難分解性有機物の増加が懸念されている。本研究では, 各種発生源からの排水と湖水の採取を行い, CODとTOCの測定およびそれらの生分解試験を実施することで, 琵琶湖流域における発生 (流入) 負荷量および内部生産量を算出し, ボックスモデルを用いて難分解性有機物の起源およびその増加原因を推定した。その結果, 陸域における有機物の発生負荷は主に生活系および産業系の対策等により削減されてきたが, 削減に寄与してきたのは主に易分解性の画分であったことが明らかになった。モデルを用いた起源推定の結果, 難分解性有機物の起源としては内部生産由来が卓越したが, そのうち溶存態成分について見ると陸域由来と内部生産由来で同程度の比率になった。この増加原因について考察したところ, 主に内部生産量の変化が原因で増加してきた可能性が高いと考えられた。