水環境学会誌
Online ISSN : 1881-3690
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39 巻, 1 号
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研究論文
  • 加藤 伸悟, 増田 貴則
    原稿種別: 研究論文
    2016 年39 巻1 号 p. 1-15
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/01/10
    ジャーナル フリー
    従属栄養細菌を主とした有機物生分解と植物プランクトンの1次生産は湖水中の生物的炭素収支を構成する主な要因である。本研究では概念的食物網モデルを用いてそれら生物的な炭素収支に対する流域負荷の影響を考察した。モデルの生物的炭素収支は流入炭素濃度の増減による細菌基質C:P比に応じて複雑に変化し, それにより水中TOCの蓄積されやすさが異なることが示された。貧栄養段階ではリン流入削減により食物網全体が不活性化し水中TOCが増加することと, 富栄養では水中TOC減少に対する炭素流入削減の効果が小さいことが示唆された。また本モデルを琵琶湖に適用したところ炭素およびリン流入濃度変化は琵琶湖の生物的炭素収支にほぼ影響を与えておらず, また湖水中易分解性TOCの減少はリン流入削減によるものであることが示唆された。モデル結果と実測のTOC変化傾向の違いは, 難分解性炭素の流入や湖内生成など, 易分解なもの以外による湖内炭素蓄積を原因として生じたと考えられる。
  • 佐藤 祐一, 岡本 高弘, 早川 和秀, 大久保 卓也, 小松 英司
    原稿種別: 研究論文
    2016 年39 巻1 号 p. 17-28
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/01/10
    ジャーナル フリー
    琵琶湖ではBODとCODの濃度の経年変化に乖離が見られていることから, 難分解性有機物の増加が懸念されている。本研究では, 各種発生源からの排水と湖水の採取を行い, CODとTOCの測定およびそれらの生分解試験を実施することで, 琵琶湖流域における発生 (流入) 負荷量および内部生産量を算出し, ボックスモデルを用いて難分解性有機物の起源およびその増加原因を推定した。その結果, 陸域における有機物の発生負荷は主に生活系および産業系の対策等により削減されてきたが, 削減に寄与してきたのは主に易分解性の画分であったことが明らかになった。モデルを用いた起源推定の結果, 難分解性有機物の起源としては内部生産由来が卓越したが, そのうち溶存態成分について見ると陸域由来と内部生産由来で同程度の比率になった。この増加原因について考察したところ, 主に内部生産量の変化が原因で増加してきた可能性が高いと考えられた。
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