霞ヶ浦全域の底泥を対象に, 現場の形状を維持した状態 (底泥コアの状態) で脱窒速度を分析することで脱窒速度の季節変動や底泥鉛直方向の特徴を把握するとともに, 霞ヶ浦全域の底泥の脱窒量を算出し, 霞ヶ浦底泥の脱窒による湖内の窒素除去効果を検討した。その結果, 脱窒は底泥表層1 cm以内で起きていることが明らかとなった。また, 脱窒速度は霞ヶ浦上流から下流にかけて小さくなり, 春季や秋季に大きくなる傾向がみられた。底泥の脱窒量は西浦全域で638 kgN d-1, 北浦全域で325 kgN d-1と見積もられ, 2006年から2010年の霞ヶ浦に流入する年平均総窒素負荷量と比較すると, 底泥の脱窒による窒素除去率は, 西浦は5%, 北浦は6%であった。