2019 年 42 巻 2 号 p. 43-52
次世代シーケンサーによって活性汚泥中の細菌群集を解析し, 培地と抗菌薬の選択圧のもとで生残する耐性菌の細菌群集を探索した。汚泥試料はタイと日本の下水処理施設から採取し, 培地にはLB培地を, 抗菌薬にはシプロフロキサシン (CIP) とテトラサイクリン (TET) を使用した。タイで採取した活性汚泥の細菌群集は4地点 (JJ, DD, BS, SPY) で類似しており, 日本の汚泥細菌群集とは全く異なっていた。タイの試料 (JJ, BS) についてCIPを高濃度 (1,000 μg mL-1) で添加して培養すると, Enterobacteriaceaeの割合がそれぞれ71.3%と81.4%に増加した。CIPを添加せずに培養した試料との相違は明らかであり, CIP耐性を示す同科細菌の存在が示された。TET添加で培養したJJ, DD, BSの試料では, 上位10種のうち7種類が共通しており, 多くの汚泥細菌にTET耐性が広がっていた。