2020 年 43 巻 2 号 p. 35-41
アンモニア性窒素 (NH4-N) を多く含み塩素消毒された下水処理場放流水において, 水質汚濁防止法に定める方法で全窒素 (T-N) 濃度を測定したところ, T-N濃度が溶存無機性窒素濃度を下回る現象が発生した。その原因として, アルカリ性条件下で試料中のクロラミン類の一部が, 窒素ガスまたは亜酸化窒素ガスへ変化したことにより, T-N濃度が過小評価されていることが示唆された。そこで, NH4-Nを1 mg L-1, 次亜塩素酸ナトリウムを有効塩素として1 mg L-1含む模擬排水のT-N分析において, 50 mmol L-1亜硫酸ナトリウム (Na2SO3) 溶液を全容量に対し0.4%以上添加したところ, T-N回収率が98%まで向上した。また, 実試料で添加回収試験を実施したところ, T-N回収率は100~104%となった。