水環境学会誌
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技術論文
産総研-水系暴露解析モデル (AIST-SHANEL) の推定精度評価-多摩川におけるビスフェノールAを対象として-
石川 百合子小松原 由美江里口 知己
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2021 年 44 巻 4 号 p. 95-102

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抄録

河川流域の化学物質のリスク評価を促進させることを目的として, 2017~2019年の多摩川におけるビスフェノールAを対象とし, 産総研-水系暴露解析モデル (AIST-SHANEL) の河川水と底泥の化学物質濃度の推定精度を評価した。PRTRデータを用いて河川水および底泥濃度を推定した結果, 両者とも実測値よりも1桁以上低くなった。流量の妥当性を確認したうえで, ビスフェノールAのPRTRデータ以外の排出量を追加し, 再計算した結果, 河川水濃度の推定値は実測値の濃度レベルとほぼ一致した。底泥濃度の推定値は全体的に過小評価の傾向が見られたが, 調査地点の約1/3は実測値と同程度となった。本研究は多摩川でのビスフェノールAを対象とした推定精度の評価であり, AIST-SHANELの積極的な活用を促進するためには, より多くの河川や化学物質を対象とした精度評価を蓄積し, モデルの妥当性の検討を進めていく必要がある。

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© 2021 公益社団法人 日本水環境学会
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