2022 年 45 巻 3 号 p. 125-134
染料マイクロカプセル (DMC) をラグランジュ線量計法に適用するための基礎的検討として, DMCラグランジュ線量計 (DMC-LA) に対する回分式平行光紫外線照射試験を実施し, 紫外線量分布の算出方法を新規開発した。DMC-LAの蛍光強度分布は対数正規分布によく適合することが統計的に確認された。また, 対数正規分布を適用することで, DMSを用いた先行研究において必須とされていた複雑な逆畳み込み演算を行うことなく, 各DMC粒子のFCM測定結果から直接的に紫外線量分布を算出可能であることが示された。得られた紫外線量分布は, 少なくとも150 mJ cm-2 以下の平均紫外線量においては, log生残率が初期傾き直線から乖離しない程度の紫外線量分布の分散の狭さが維持されていることが確認され, 供試微生物のテーリング現象は紫外線量分布以外に起因する現象であることが強く示唆された。