水環境学会誌
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研究論文
LC-MS/MSによる事業場排水中の水酸化テトラメチルアンモニウムとテトラメチルアンモニウム塩類の測定法開発
古閑 豊和柏原 学平川 周作石橋 融子宮脇 崇
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2022 年 45 巻 3 号 p. 115-123

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抄録

LC-MS/MSを用いて, 事業場排水中にテトラメチルアンモニウムイオン (TMA) として存在している水酸化テトラメチルアンモニウム (TMAH) やテトラメチルアンモニウム塩類の測定法を開発した。測定法開発の標準物質にはTMAHを用いた。弱陽イオン交換固相であるOasis WCX (WCX) による前処理方法を採用することで, 定量下限値が0.00034 mg L-1となり, サロゲート標準物質の回収率が50~120%の範囲で事業場排水中のTMAの測定が可能となった。次に福岡県内30か所の事業場排水を調査した結果, 2事業場 (事業場HとX) でTMAがそれぞれ0.0014 mg L-1, 2.5 mg L-1検出された。TMAが検出された事業場HとXの排水についてDaphtoxkit F magna附属の休眠卵を孵化させ, 簡易試験としてオオミジンコ急性遊泳阻害試験を実施したところ, 事業場Xについて排水を50%に希釈しても遊泳阻害が検出されるなど, 毒性が確認され48時間半数影響濃度 (48 h-EC50) が62%となった。次に事業場XについてWCXを用いた毒性原因物質の特徴化を実施したところWCXを使った処理水において毒性が低減した。

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© 2022 公益社団法人 日本水環境学会
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